長谷川秀人会長 2016ナーチャー賞エッセイコンテスト ファーストペンギン賞を受賞
2016ナーチャー賞エッセイコンテスト ファーストペンギン賞を受賞
長谷川秀人会長(特殊検査分析士
ビリヤードと計測・材質特性
ビリヤードは、「手玉(てだま)」と言われる手前にある「玉(たま)」を「キュー」の呼ばれる「玉つき棒」で撞(つ)き、「的(まと)玉(だま)」と呼ぶ第2の「玉」の方向を制御することにより「的玉」を標的場所に当てるゲームである。
したがって「玉」と「玉」の接触する場所は接点であるのでビリヤード台の長型方向の1度の角度の違いは末端では4cmの差となって表れ、さらに「キュー」と「手玉」、そして「手玉」と「的玉」、さらにはテーブル台のラシャ布との摩擦やテーブルの淵のクッションの強弱・角度差も加わる。これらは室温・湿度にも影響されることになり、目的を達成させるためには極めて高度の技術が要求されることになる。
歴史的に見るとヨーロッパの古いお城には豪華なビリヤード台が置かれている。日本では、長崎の出島にオランダより持ち込まれたビリヤード台の絵巻があり、また大正天皇時代の皇太子の静養地である日光田母沢御用邸にも現存し、ビリヤードは高貴な遊びであったことが伺える。
ビリヤード台の淵に接して「赤③玉」と「緑⑥玉」を相互に接して置いた後、「赤③玉」を静かに取り除く。その「赤③玉」を除いた隙間を通過させるために第3の「黄①玉」を黄色①の起点(淵より斜め方向)より撞く。
「黄①玉」をビリヤード台の淵と平行を置いた場合には、高度の技術があれば理論的に隙間を通過できる。しかし黄色①の起点(淵より斜め方向)から撞いた場合には、理論的に通過は不可能である。
しかしながら、高度な技術をもって強烈な力で黄色①の起点(淵より斜め方向)より撞けば、台の淵を構成するクッション材が凹み通過できるのである。
技術と共に材質の特性を生かすことにより不可能と言えることを成し遂げることができる。
ビリヤードの玉は、およそ直径57mmの真球である。下の写真は製造メーカの異なる2個の玉を比較したものであるが何となく右側(赤印)の玉が大きいことが分かる。二つの玉の直径をノギスで精密に計測してみるとその差は0.7mmであった。我々の目はこのような僅かな差を識別できる能力を持っているようである。
物作りにおける伝統的な技術・匠の技術、そして神の手による手術と言われるように最終の細心な技は感覚に依存しているのではないだろうか。
このテーマとなった「ビリヤードと計測・材質特性」は、「地域の交流の場を目指して!」狭山市内にあるキューの国際的な製造メーカ(㈱アダムジャパン)の支援及び現役チャンピオンのプロの指導のもとに廃校となった小学校の教室に2台、さらに空き店舗にビリヤード台を設置し、最低年齢;小学校1年生への指導や最高齢86歳の会員と伴に「健康は社会貢献」と“楽しみながら”ビリヤードの技術を習得する中で感じたことである。
「さやまビリヤード愛好会」は、2013年に狭山市の「さやま市民大学」が開講した「ビリヤード指導者養成コース」の受講修了者によって設立した。
「さやまビリヤード愛好会」会則 第2条 抜粋本会は、ビリヤードに係る会員相互の練習と研究を通じて、新たにビリヤードを始めようとする方々(初心者)への案内及び指導も行えるようその技術の研鑽に努めるとともに、もって地域住民の交流の場を提供し、さらには健康の維持・増進の一助とすることにより、地域社会の発展に寄与することを目的とする。 |
おめでとうございます。